ホーム > 支援の輪インタビュー > UC患者 Cさん

UC患者 Cさん 30代/罹患歴 約10年

インタビューした方の似顔絵イラスト

海外赴任・転職・在宅勤務を経て見つけた
“自分らしい働き方”。
共感し合える人の存在が心の支えです

大学卒業後に潰瘍性大腸炎を発症したCさん。海外赴任、転職、在宅勤務を通して、仕事と治療の両立に向き合ってきました。多忙な日々の中で得た気づきや、支えてくれた人たちとの関わりについて伺いました。

研修中に病気の診断。
「なんで自分が」と病気を受け入れられない時期も

最初に症状が出たのは大学4年生のころでした。食事やお酒のあとに急な腹痛や下痢が続くようになって、いくつかの病院を受診しましたが、はっきりとした診断は受けませんでした。

大学を卒業して製造業の会社に営業職として入社しましたが、研修中に症状が悪化。血便や倦怠感で仕事を続けるのが難しくなり、大きな病院で検査を受けたところ、潰瘍性大腸炎と診断されました。原因が分かってほっとした反面、「なんで自分が」と受け入れられない気持ちもありました。

入院して治療を受け2週間ほどで寛解。退院後はすぐ職場に戻りましたが、研修は中断となり、本社の企画部門に異動しました。

夢だった海外赴任と症状の悪化

子どものころから海外が好きで、英語の勉強もずっと続けていました。病気はありましたが海外赴任を希望し、実現しました。現地では仕事量が多く、飲み会も頻繁で、食事もお肉中心。日本の食材も手に入らない国だったので体調管理が難しく、少しずつ症状が悪化していきました。

半年に一度は帰国して日本の主治医に薬を処方してもらっていましたが、血便や腹痛が続くようになり、少し食事をしただけですぐにトイレに駆け込むような状態でした。「このままでは長く働けない」と感じて帰国を決断しました。

柔軟な働き方が可能な環境に身を置くことが大事

帰国後、本社で働きながら体調を整えていましたが、海外での仕事に比べると仕事の裁量が少なく、もっと自分らしく働きたいという思いが強くなり転職を決意しました。現在勤務している企業は、成果で評価される環境と、在宅勤務やフレックス制度が整っていたことを理由に選びました。

柔軟な働き方を選べる環境に身を置くということは、とても大切なことだと思います。以前の会社は朝9時から17時まで必ず在社していなければなりませんでしたが、体調に合わせた働き方ができず苦労することも多かったです。一方、今の職場では体調に合わせて在宅やフレックスなどの柔軟な働き方が可能で、病気を抱えながら働く上でとても助けられています。

相手が具体的なイメージを持てるように病気の伝え方を工夫

転職時には病気のことを伝えませんでしたが、1年後に体調を崩したタイミングで上司に話しました。幸い、上司のご家族の一人が同じ病気を患っていたこともあり、深く理解してくださいました。「在宅勤務や早く上がったり、働く時間を遅くしたりというのは、全然構わないから」と言っていただけたことは本当にありがたかったです。

病気を説明するときは「元首相と同じ病気なんです」と相手に伝えるようにしています。病気が仕事に及ぼす影響がイメージしやすく、変に重く受け止められないからです。また体調が崩れると、食事を見直さなければならないことや外出が困難になること、そして平日に通院が必要なことは伝えています。今は上司や同僚の理解もあり、体調に合わせて働ける環境が整っています。

体調悪化を機に食事を見直し。
理解してくれる人たちの存在が、何よりの支え

体調悪化による帰国を機に、完全にマインドセットが変わりました。今は食材にこだわって自炊するようにしています。お弁当も手作りで、お酒は完全にやめ、体に合う食材を中心とした食生活になりました。以前は飲み会の誘いを断りづらかったのですが、今は「飲めないのでノンアルで参加します」とはっきり言えるようになりました。具合が悪いときは予定をキャンセルすることもあり、申し訳なさも感じますが、体調を最優先にするようにしています。

病気になってから人との付き合い方や楽しみ方も少しずつ変わりました。体調のことを伝えてあるごく近い友人たちは、外出のときも私の体に合うお店を選んでくれたり、調子が悪いときは家で一緒にボードゲームをしたりと自然に配慮してくれます。そうやって環境に合わせてくれる友人の存在がとてもありがたいです。妻も同じように、私の小さな楽しみを共有できる存在です。最近はまっている甘酒も、妻は「また新しいの見つけたの?」と一緒に楽しんでくれます。一般的には共感されにくいような喜びや悲しみにも、共感してくれる人がいること。それが、今の私にとっていちばんの支えです。

病気が変えたキャリアの考え方

潰瘍性大腸炎を経験して、仕事への考え方も変わりました。それまでは年功序列や安定志向を好んでいましたが、「自分の力でキャリアを築く」という意識が強くなりました。どこでも通用するスキルを身につけたいと思い、プログラミングやデータ分析など新しいことを常に学んでいます。副業ではSNSやブログ発信にも挑戦しています。成果が数字で見えるのが面白く、やりがいを感じています。

将来的には今の仕事でマネージャー職を目指しながら、副業も並行していきたいです。会社に頼りきりではなく、自分の力で稼げるようになりたいという気持ちがあります。

視野を広く、挑戦する気持ちを忘れずに

この病気になって思うのは、「自分の考え方次第で変えられることは意外と多い」ということです。病気の理解を得ながら、柔軟に働ける環境があれば、やりたいことはきっと実現できます。体調が悪かったり、仕事が思うように進まなかったりすると、つい気持ちが沈みがちになります。しかし、そういうときこそ外に目を向けるチャンスだと思います。体力の制限や通院の頻度など制約はありますが、在宅勤務やフレックス制度を活用すれば、治療と仕事の両立が可能なこともあります。

大切なのは、「これは無理」と自分で決めつけないこと。今の職場でうまくいかなかったり、転職してもうまくいかなかったら、また次を探せばいい。そうやって軽やかに選択肢を広げていけば、きっと新しい扉が開くと思います。

潰瘍性大腸炎は治療法もどんどん進歩しています。だから、あまり落ち込みすぎず、「なんとかなる」と思ってほしいです。失敗を恐れずに、自分のペースでいろんなことに挑戦していけば、きっと道は拓けていくと思います。

Cさん

30代男性。UC罹患歴約10年。製造業勤務を経て海外赴任を経験。帰国後転職し現在は在宅勤務とフレックス勤務を活用しながら、副業やスキルアップにも取り組む。病気をきっかけに「柔軟に挑戦することの大切さ」を実感し、前向きにキャリアと人生を切り拓いている。